スペシャルティコーヒーって何?概念や歴史、美味しい飲み方まで紹介

スペシャルティコーヒーとはコーヒーをカテゴライズする言葉の一つ。高品質で美味しいコーヒーを消費者へ届けるために、持続的に生産できる環境を整える、そんなコーヒー業界の新たなムーブメントから生まれました。この記事では、スペシャルティコーヒーの概要や美味しい飲み方を紹介します。

1.スペシャルティコーヒーとは?

コーヒー専門店やカフェで見かけるスペシャルティコーヒー。まずは、スペシャルティコーヒーとは何か、具体的に説明します。

コーヒーをカテゴライズする言葉

スペシャルティコーヒーとはコーヒーをカテゴライズする言葉の一つ。コーヒーの歴史と文化の変遷の中で誕生した概念を表すもので、高品質なコーヒーを持続的に生産することを目的として、コーヒー豆の新しい供給スタイルを目指すムーブメントから生まれました。

日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)によると、スペシャルティコーヒーとは「消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること(※)」です。

抽出されたコーヒーから立ち上るアロマ、コーヒーの果実本来が持つ酸味、口に含んだ時の舌触り、味の厚みや飲んだ後の余韻といった味わいのバランスから評価されます。

スペシャルティコーヒーが生まれた背景

スペシャルティコーヒーという表現が登場したのは1970年代のアメリカです。

コーヒーは世界中で多くの人に愛され、アメリカを始めとする多くの国で大量消費される時代が続いていました。消費者にリーズナブルなコーヒーを提供することが最優先とされ、コーヒーの低価格化が加速。その結果、生産者に渡る賃金が低下して担い手が減り、人手をかけられないことから品質が悪化する事態になったのです。この悪循環が消費者のコーヒー離れを引き起こしました。

このことから、コーヒー農園を守り高品質なコーヒー豆の生産環境を整えることが、コーヒーを楽しむ消費者のメリットにもなるとして、スペシャルティコーヒーという概念が生まれたのです。

スペシャルティコーヒーの定義

スペシャルティコーヒーの定義として、日本スペシャルティコーヒー協会の公式サイトではカップ評価で判定する基準を明記。カップ評価の高いコーヒーだけをスペシャルティコーヒーと称し、一般的なコーヒーと区別しているのです。

また、スペシャルティコーヒーでは味わいや香りといったコーヒー豆としての品質だけではなく、生産者の存在も重要視されます。そのため、農園からコーヒーカップまでの道筋を徹底管理し、トレーサビリティ(追跡可能な状態)を明確にすることも、スペシャルティコーヒーの定義の一つです。スペシャルティコーヒー を語る上で「農園からコーヒーカップまで(From Seed To Cup)」というワードがよく聞かれるのはそのためです。

スペシャルティコーヒーのカップ評価

スペシャルティコーヒーのカップ評価は、カップ・クオリティのきれいさ、甘さ、酸味の質、質感、フレーバー、アフターテイスト、バランスなどにより判断されます。

一般のコーヒーでも、テイスティングは重要なカップ評価の方法ですが、スペシャルティコーヒーはカップ・クオリティのきれいさに重きを置いてます。ここで言うきれいさとは、栽培地域の特性「Terroir(テロワール)」を損なうような風味の「汚れ」や「欠点」がないこと。「汚れ」「欠点」があると、テロワールによる風味のプロフィールが隠され、飲む人が感知できにくくなります。これはワインのテイスティングにもかなり似た考え方です。

スペシャルティコーヒーには生産者の利益を守る目的も

スペシャルティコーヒーは、生産者と消費者の双方に利益をもたらすコーヒー。生産者を害することなく良質な生産体制を維持することは、スペシャルティコーヒーならではの特別な考え方と言えます。

そのため、正当な対価が保証された体制のもとで生産されたコーヒー豆でなければいけません。生産者の利益を確保すると同時に、コーヒー農園が継続的に安定した栽培を続けられる状態、サスティナビリティを大切にしています。

スペシャルティコーヒーにおけるサスティナビリティとは、コーヒー農園の利益を守るだけではなく、自然環境への配慮、社会倫理の順守も含まれているのです。

2.スペシャルティコーヒーに関連するワード

スペシャルティコーヒーに興味が湧くと、これまで気付かなかった新しいフレーズを耳にすることがあります。

ここでは、スペシャルティコーヒーの意味をより深く理解するために知っておきたいフレーズを2つ解説します。

カップオブエクセレンス(Cup of Excellence)

カップオブエクセレンスとは、1年で特に優れた品質のコーヒー豆を決定する品評会のこと。年に1度のペースで開催され、トップオブトップと呼ばれる最高品質のコーヒーが選出されます。

国際審査員であるカッパーにより100点満点で採点されるのですが、トップオブトップと呼ばれるのは86点以上を獲得したコーヒー豆のみ。審査結果はサンプルとともにコーヒー消費国に伝えられ、該当のコーヒー豆はインターネットオークションで最高値の落札者に販売されます。厳しいカップ評価をくぐり抜け、カップオブエクセレンスのトップオブトップの称号を得た生産者は、栄誉とともに品質に見合った対価を得ることができるのです。スペシャルティコーヒーという付加価値だけでなく、さらにその中から点数によってトップオブトップを選出し、より高い付加価値をつけることで生産者にさらなる利益を確保しているのです。

スペシャルティコーヒーとサードウェーブとの関係

スペシャルティコーヒーがコーヒーをカテゴライズする言葉であるのに対し、サードウェーブはコーヒー文化のトレンドを表す言葉です。

コーヒー文化のトレンドには、これまで3つの波がありました。19世紀頃に始まったとされる大量消費時代がファーストウエーブ、1960年代から世界に広まり始めたシアトル系カフェや深煎り嗜好がセカンドウェーブ、そして1970~2000年頃に広まったとされるのがサードウェーブです。

サードウェーブではコーヒーを飲む「体験」が重視され、コーヒー豆本来の味と香りを楽しむ浅煎り嗜好が広まりました。

別々の意味を持つスペシャルティコーヒーとサードウェーブが混同されやすい理由としては、両者ともほぼ同時期である2000年前後に日本へ到来したためだと考えられます。

3.スペシャルティコーヒーの美味しい飲み方

日本スペシャルティコーヒー協会では、適切な抽出もカップの品質に関わるとしています。でも、どうすれば適切になるのかは人によって判断も異なり、難しいところです。

そこで、スペシャルティコーヒーを美味しく飲むための基本的な抽出方法をお伝えします。

コーヒー豆の個性を味わうならフレンチプレス

スペシャルティコーヒーの風味をしっかり味わいたいなら、フレンチプレスがおすすめです。金属製フィルターを使うフレンチプレスで抽出すると、コーヒー豆本来の油分をそのまま楽しめます。

【フレンチプレスによるコーヒーの抽出方法】
1.フレンチプレスに沸騰したお湯を適量注ぎ、シャフトをセットして、あらかじめ温めておく。
2.コーヒー1杯あたり粗挽きのコーヒー粉を約10g、お湯140mlほどを目安に人数分の材料を準備する。
3.フレンチプレスを温めたお湯を捨てて、適量のコーヒー粉とお湯を入れる。
4.スプーンなどで数回かき混ぜて、コーヒー粉とお湯をなじませます。シャフトをセットして3分ほど置く。
5.ゆっくりとプレスしたら完成。

自分好みに味わいを調整しやすいハンドドリップ

スペシャルティコーヒーを自分好みに抽出したい方には、ハンドドリップが最適です。コーヒー粉やお湯の量、抽出時間などを調整すれば味わいの変化を実感できるはず。

お湯はゆっくりと少しずつ注ぐのがポイントです。「の」の字を描くようにしながら3分ほどの時間をかけると良いでしょう。

【ハンドドリップによるコーヒーの抽出方法】
1.フィルターにコーヒー粉を約8g~12g入れる。軽く揺らして、表面を平らにならす。
2.やかんやケトルでお湯を沸かして、沸騰したらサーバーやコーヒーカップに注いで温めておく。
3.お湯が90℃くらいに下がったら、フィルターに入ったコーヒー粉に少量のお湯を注ぎ、しっかりと蒸らす。
4.コーヒー粉が膨らむのを確認したら、3回くらいに分けてお湯を少しずつ注いで抽出する。

4.スペシャルティコーヒーで新しいコーヒー体験を

スペシャルティコーヒーは、生産者から消費者へと美味しいコーヒーを届けるために生まれた概念。口にする時には素晴らしい味わいとともに、コーヒー豆を栽培する農園にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

1杯のコーヒーに込められた工夫や思いを感じながら、これまでにないコーヒー体験を楽しんでくださいね。

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