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珈琲人名鑑

受け継がれるパイオニア精神
時代の変化に挑み続ける後継者

株式会社 アートコーヒー営業本部 マネージャー 窪田 肇

進化論を著したダーウィンは「生き残る種は強者でも極めて賢い者でもない。変化に最も柔軟に対応できる者だ」と説いた。アートコーヒーも創業からのパイオニア精神を大切に、時代とともに変化しながら生き残ってきたコーヒー卸の大手だ。そのDNAを受け継ぐ、窪田肇氏に話をうかがった。

味覚は芸術、コーヒーを大衆の嗜好品として広めたパイオニア

“味の芸術”アートコーヒー。昭和生まれなら、街の喫茶店に置かれた赤い看板の言葉にノスタルジーを感じるだろう。この社名に込められた意味は1934年の創業に遡る。創業者である若林秀雄氏は、希少な嗜好品であったコーヒーを多くの人に味わってもらいたいと、同社を創業。トルストイの著書にあった言葉「味覚芸術こそ最高の芸術」から社名をアートコーヒーと名付けた。

コーヒーを気軽に楽しめる嗜好品に、というパイオニア精神は、社史89年のなかで発行された広報誌「アート誌」でも見ることができる。なかでも1960年代に開発し、特許も取得した「コーヒーシェーカー」はとてもユニーク。容器内に濾過用のペーパーフィルターをセットしてコーヒー粉末と熱湯を入れ、好みの濃さになるまでシェイクして抽出するという画期的な器具だった。今でもそのDNAは社員に受け継がれており、全国各地で営業活動に走り回ってきた窪田肇氏は「地球上のすべての人が、コーヒーを楽しむ世界を創りたい」と語る。

現代のコーヒーシーンの最前線を走り続けてきたセールスパーソン

窪田氏がアートコーヒーに入社したのは2004年。それまでコーヒーの知識はゼロだったと話す彼が同社を選んだきっかけは、“身近なもの”に関わる仕事がしたかったからだと振り返る。まさに窪田氏がコーヒーを身近だと感じている時代は、アートコーヒーの先人たちが描き切り開いてきたものといえるだろう。

窪田氏もその意志を確かに受け継いでいる。入社以来、営業職一筋。北は栃木県から南は福岡県まで、カフェや喫茶店はもちろん、ホテル、大手外食チェーン、ファーストフード店と、その声に応えてきたクライアントは数え切れない。刻々と変化する時代とともに約20年にわたり、日本のコーヒー市場を築き上げてきた一人だ。そんな彼が今、誰でも・いつでもコーヒーを楽しめるようにと先陣を切って進めるのが、1杯ずつコーヒー豆を挽いて提供するカウンターコーヒー。

焙煎豆を挽くところから淹れる1杯取りのコーヒーは、今や24時間ボタン一つで飲める時代になった。特にカウンターコーヒーは、多くの人にとってもっとも生活の近くにある“嗜好品としてのコーヒー”といっても過言ではない。消費者が求める質は年々高まり、目まぐるしくトレンドが変わるなかで、生豆の選定から焙煎・ブレンドによる味の設計、抽出器具に合わせたレシピを、クライアントと一丸となり作り上げていくのが窪田氏の役目。いわば現在進行形で現代のコーヒーシーンを創っている。

地球上のすべての人が
コーヒーを楽しめる未来に

あらゆる人の生活の一部になり得るからこそ、多角的な視点と知識が不可欠

窪田氏は今、地球上のすべての人がコーヒーを楽しめる世界を創りたいと語る。その理由を問うと、コーヒーはどんな人にとっても生活の一部になり得るもの、かつ必ずポジティブな要素をもたらすものだからだと答えた。「カウンターコーヒーはその最たるもの。朝の目覚め、午後のリラックス、残業や夜勤中の気分転換……、手にする目的は、世代・性別・職業・シーンによって実にさまざまですが、すべてにおいて充実した時間を与えるという点は共通」と窪田氏。

だからこそ、単にコーヒーに精通しているだけでは足りないと続ける。季節によって牛乳の乳脂肪分が変わることや、抽出するマシーンの特徴、店舗でのオペレーション、産地・消費国双方の最新トレンドなど、味作りにはあらゆる要素を落とし込んでいる。さらに味覚センサーを用いて味を数値化し、客観的・多角的に分析することも消費者ニーズに合った商品作りには欠かせない。その上でコーヒーのポテンシャルを最大限に表現し、お客様に満足いただけるものをいつでも安定して提供できるよう、日々研究と努力を重ねているのだ。

地球環境や生産者に配慮したコーヒーをスタンダードに

コーヒーが身近な嗜好品であり続ける未来は、窪田氏のみならず、創業時からのアートコーヒーの夢といっても良いだろう。同社では早くから社を上げて持続可能な商品作りに取り組んできた。「お客様や社会、そして地球との豊かな共生の実現」を企業理念に掲げ、有機JAS認証、フェアトレード認証、レインフォレスト・アライアンス認証など各種認証コーヒーを積極的に使用。

また、2050年問題(地球温暖化により、2050年にはアラビカ種の栽培地が半減すると危惧されている問題)への対策として環境への負荷を軽減するために、今後は全原料をオーガニックやフェアトレードなどサスティナブルなものへと切り替えを目指してゆく考えだ。

現代を生きるコーヒー人として、飽くなき挑戦は続く

今、窪田氏はJ.C.Q.A.インストラクター講師としても、自らの言葉でコーヒーの魅力を直接一般消費者へ伝えている。近年は勤勉な若い世代の受講者も多く、良い刺激になると話す。「時代の変化とともにコーヒーの楽しみ方を提案してきたアートコーヒーの意志を継承する者として、私自身も常にアンテナを張りながら新しい価値を創っていきたい。美味しいコーヒー作りにゴールはありません。だから、おもしろいんです」。そう締めくくった窪田氏の言葉からは、1杯のコーヒーに懸けた魂が感じられた。

Product商品詳細

株式会社アートコーヒー「ドリップバッグ フェアトレードコーヒー」

(8g✕100P)オープン価格

  • 価格は取材時点のものになります

原料はすべてフェアトレード認証を取得したもののみを使用。ブラジル産とコロンビア産の生豆をフルシティローストに仕上げ、甘く芳ばしいナッツのような香りと苦みと、ほど良いコクがあるのが特徴。また、個包装には一部植物由来の原料を使用することで、石油資源由来のプラスチック使用量を削減している。

大手オンラインショップで販売中

Company会社情報

会社名 株式会社 アートコーヒー
住所 107-0052 東京都港区赤坂8-5-26
電話 03-4416-8810
FAX 050-3156-0247
営業時間 9:00〜17:30 
定休日 土、日、祝日
HP https://www.artcoffee.co.jp/
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