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珈琲人名鑑

アートディレクターの感性が光る
“色気のあるコーヒー”

株式会社 アトリエ・モリヒコ代表取締役 市川草介

北海道を代表するコーヒーブランド、MORIHICO.。代表取締役でアートディレクターとしても活躍する市川草介氏は、自らが作り出すコーヒーには「色気が大事」と語る。生豆の選定からブレンドの味作り、焙煎機まで、色気のあるコーヒーを作るための秘策を市川氏に聞いた。

はじまりはデザイン事務所に設けた茶室から

市川氏がコーヒーと出会ったのは小学生の頃。インスタントが主流の時代に、コーヒーにこだわる祖父の影響で、手挽きのミルでコーヒー豆を挽き、ドリップしたコーヒーを飲んでいたという。17歳になるとコーヒーを飲むために喫茶店に通うようになった。学校帰りに仲間と語り合ったり、時にはひとりで自分の将来を空想したり……。自らの経験から「若者が大人になる時、カフェはなくてはならない存在」と感じていたという。

そんな市川氏はアートディレクターとしての顔も持つ。札幌で立ち上げたデザイン事務所の1階に、茶室を設けたことが、森彦を創業するきっかけとなっていく。その茶室は「月菴」と名付けられ、アーティストやデザイナー仲間が集う場所となった。そこで「人をもてなすのが好きなんだ」と気づいた市川氏。事務所近くで気になっていた古民家が空いたタイミングとも重なり、そこから約3年をかけて自らリノベーションを行い、1996年、ついに森彦は誕生した。

深煎り文化の北海道、看板ブレンドはフレンチロースト

深煎りのコーヒー文化がある北海道。MORIHICO.ではNo.1〜No.6という名の看板コーヒーがあるが、No.1はもちろんフレンチローストの深煎りブレンドだ。No.2は中煎りのマイルドブレンド。そしてNo.3〜6はモカ、コロンビア、マンデリンなどのストレートコーヒーを販売している。

MORIHICO.らしいコーヒーを作る際、市川氏が基準にしている生豆選びのポイントは「唯一無二の個性があるか、感激があるか」だ。生豆の個性は主観的なものにはなるが、市川氏の持論として、口に含んだ瞬間にハッとする驚きがあるものを厳選している。

コーヒー店として世界初、1% FOR THE PLANETに加盟

MORIHICO.ではオーガニックコーヒーにも力を入れており、現在は約12種類を販売している。本当は全てオーガニックコーヒーにしたいと考えているが、日本の農薬基準値の厳しさは世界でもトップクラスに位置しているため、現在は可能な範囲で取り扱っている。

またMORIHICO.ではオーガニックコーヒーを含む対象商品の売り上げ1%を地球環境保全のために寄付する「1% FOR THE PLANET」に加盟している。渓流釣りが好きで自然のなかで過ごすことも多いという市川氏。環境保全への想いも強く、アウトドアメーカー、パタゴニアが発起人となっているこの取り組みに強く共感したという。日本企業としては10番目、コーヒー店では世界初の加盟となった。

コーヒーに色気があるか。
それがMORIHICO.の基準となる。

色気のあるコーヒーを作るために

No.1〜6のスタンダードコーヒー、スペシャルティコーヒー、オーガニックコーヒーなど合わせて約25種を販売するMORIHICO.。生豆を焙煎するのは、札幌市内にあるカフェ、Plantationのエントランスに設置されたスイス・ビューラー社の熱風式焙煎機だ。目を引くオレンジ色は特注で、創業当時に市川氏がコーヒー豆の配達に使っていたシトロエン2CVとお揃いだ。

この焙煎機を選んだ理由を聞くと「色気のあるコーヒーが焼けるから」と、市川氏らしい言葉が返ってきた。コーヒーは基本的に焙煎豆とお湯のみで作られる飲み物だが、口に含んだ時に一辺倒な味ではなく、産地や焙煎技術によって生まれる味のアクセントが見え隠れするか。コーヒーがセクシーであるかは、MORIHICO.を語る上で重要な要素なのだ。また、この焙煎機はさかのぼるとエスプレッソ文化のあるイタリアにもルーツがある。ゆえに、北海道で好まれる深煎りのコーヒーを焙煎するのにも適していると考えている。

空間とホスピタリティを重視した五感で愉しむ喫茶店

現在、北海道に13店舗を構えるMORIHICO.。お代をもらっている以上、美味しいコーヒーを提供するのは当然で、MORIHICO.にしかない価値を提供していくために、空間価値やホスピタリティも重要視しているという。

実際、店舗に足を踏み入れると、木を基調とした自然のあたたかみとインダストリアルなデザインが融合した独特な世界観に圧倒される。ヴィンテージのインテリアや照明、音楽、外から聞こえる虫の音やコーヒーの香り。MORIHICO.はまさに五感で愉しむ喫茶店。そして若かりし市川氏が仲間と過ごし、ひとり想いを巡らせていた理想の喫茶店そのものなのだ。

Product商品詳細

株式会社 アトリエ・モリヒコNo.1モリヒコ・ブレンド【フレンチ】

(200g)1,296円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

コロンビア、マンデリン、グアテマラ、エチオピアモカ、4種の深煎り豆をブレンドしたMORIHICO.でNo.1の名を冠するブレンド。飲みやすさと甘みがありながら、スパイスのような役割をするモカを入れることで飽きのこない味わいを実現。アートディレクターの市川氏自らがデザインしたパッケージもスタイリッシュ。

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Company会社情報

会社名 株式会社 アトリエ・モリヒコ
住所 003-0808 北海道札幌市白石区菊水8条2-1-32 
電話 011-827-8828
FAX 011-827-8990
営業時間 10:00~17:00(平日)
定休日 土、日、祝日
HP https://www.morihico.com/
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