珈琲人名鑑

あなた好みの味へ導く
コーヒーの羅針盤

株式会社 コンパスコーヒー社長 小林稔浩

都内に3店舗を構えるコンパスコーヒー。社長の小林稔浩氏はカレーをきっかけにコーヒーの世界に足を踏み入れたという珍しいキャリアの持ち主だ。熱エネルギーについての研究を深め、お客様のいかなる要望にも応えられるよう560通り以上の焙煎レシピを揃える。コーヒーの研究に情熱を注ぐ小林氏にコンパスコーヒーについて伺った。

焙煎士のキャリアは、カレーに合うコーヒー探しから

コンパスコーヒーは旗の台、九品仏、戸越銀座に店を構えるコーヒー豆専門店。社長の小林氏はグルメ愛好家で、以前は飲食店を経営していたという意外な経歴の持ち主だ。新たにカレー屋を始めるため、スパイスに合うコーヒーを探していたが、納得できる味に出会えず……。「ならば、自分でコーヒーを作ろう」と焙煎にチャレンジ。気づけば、カレーよりもコーヒーの魅力に取りつかれていたという。

熱エネルギーを研究したことで見つけた、独自の焙煎セオリー

異色なのはキャリアだけではない。小林氏は焙煎をするにあたり、熱エネルギーの研究に情熱を注いできたという。熱エネルギーが「もの」にどのように反応するか、独学で研究しながら焙煎技術を磨いたことで、他人にはない独自の焙煎セオリーを編み出した。

現在、都内で3店舗を構えるコンパスコーヒーではすべての店頭で生豆から販売している。常時20種類を揃える生豆は100グラムから購入が可能。お客様の好みをヒアリングしながら7段階のレベルで焙煎を行う。

そこで使用しているのが、輻射熱と回転する熱風で焙煎をするトルネードキングだ。輻射熱とはいわゆる赤外線のことで、直火や熱風焙煎のように生豆の外側から熱を入れる方法とは異なる。赤外線は生豆の内側から熱が入り、外側に向かって熱が抜けていくので、内側にもしっかりと火が通る。ふっくらとした煎り上がりが特徴で、生豆の味を引き出すハニカム構造という組織が、空洞のように開いた証拠とも言える。

“他の焙煎士が見たら驚くだろうね
このレシピは普通じゃないから”

あなた好みのコーヒーへ導く、無限大の焙煎レシピ

味作りには丁寧な検証が欠かせない。コンパスコーヒーでは、焙煎したコーヒー豆はもちろん、仕入れの際にもハイロースト、フルシティ、フレンチローストでテスト焙煎をし、小林氏と各店の店長が一緒にカッピングをして生豆を決めるという。

「3段階で焙煎すると、それぞれのコーヒー豆が持つ酸味、香り、甘みがわかる」と、小林氏。さらに、それぞれの生豆をお客様の好みにあわせて7段階で焙煎するため、各焙煎レベルでどの味をどのくらい引き出すのかを考えながら全てのレシピを作るという。

これまでに作ってきた焙煎レシピ数はなんと560以上。さらに驚いたのは、現在ある3店舗ごとに焙煎レシピを変えているということだ。排気を行なう煙突の長さ、店の入り口から焙煎機までの距離など店舗によって環境が違う。また、地域によってお客様の層も違うため、あえて同じコーヒー豆でも焙煎レシピを店ごとに変えているという。レシピ数はもはや無限大。どこまでもお客様に寄り添った味を提案ができるのは、コンパスコーヒーの最大の魅力だ。

コーヒーの羅針盤を目指して

お客様の好みの味を提案したいという想いは店名にも込められている。コンパスコーヒーの名前の由来は、まさにコーヒーの羅針盤。広くて深いコーヒーの世界は、まるで海のようだ。そこにポツンと取り残されたお客様に「羅針盤になって向かう方向を指し示したい」という想いからつけた。

ただ、気を付けているのはピンポイントでゴール地点を示さないこと。お客様の好みの方向性をコンパスのように示し、後はお客様に任せる。そうすることで、コーヒーの無限の楽しみを残すよう心がけているという。

遊び道具だったコーヒー、遊び心は今でも

小林氏にコーヒーの出会いを聞いたところ、実は子供の頃から両親に頼まれて毎朝サイフォンでコーヒーを作っていたそうだ。「コーヒー豆のおつかいにも行っていたんですが、当時は知識がなかったので、コーヒー豆の横に書かれている国旗を見て、気分で選んでいました」と話してくれた。

小林氏にとって国旗は、コーヒーを楽しく選べる大事な目印。ゆえに、コンパスコーヒーでは、すべての生豆の紹介カードに国旗をつけているのだという。「あの頃コーヒーは遊び道具でしたね」と笑う小林氏。その言葉と笑顔には、子どもの時のように遊び心をもって、これからも焙煎を追求していきたい、という焙煎士としての意気込みが感じられた。

Product商品詳細

株式会社 コンパスコーヒーレテフォホ村の豆2019

(200g)1,343円(税別)

  • 価格は取材時点のものになります

原産地は標高1,400〜2,100メートルを超える高地。昼夜の寒暖差が少なく美味しいコーヒーができる条件が揃っている。そんなレテフォホで農薬や化学肥料を一切使わずに栽培し、完熟した生豆のみを丁寧に手摘みしたフェアトレード商品。

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Company会社情報

会社名 株式会社 コンパスコーヒー 戸越銀座店
住所 142-0051 東京都品川区平塚2-18-1
HP http://www.compass-coffee.com
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