珈琲人名鑑

大谷石の石蔵で生豆を熟成
独自手法で作るコーヒー

株式会社 シーアンドシー工場長 高橋靖彦

群馬県高崎市の上毛三山に囲まれた田園の中に、大谷石の石蔵で寝かせた熟成豆を、国産炭火で焼き上げるユニークなコーヒー焙煎会社がある。自社商品はもちろん、他社の焙煎代行も請け負う株式会社シーアンドシー、工場長の高橋靖彦氏にそのこだわりをうかがった。

地元の老舗コーヒー店から焙煎に特化した専門会社として独立

シーアンドシーのルーツは、創業者の平湯正信氏が高崎の老舗コーヒー豆販売店、大和屋から焙煎部門を独立させ、1981年に焙煎専門会社を設立したことに始まる。現在も同社は、焙煎と卸を中心に大和屋の加盟店など約60店の焙煎を担っている。社名のシーアンドシーはCoffee & Communicationに由来。その名の通り、店ごとに密にコミュニケーションをとった上で、卸先が求める焙煎度や味わいにコーヒー豆を仕上げる、丁寧な仕事ぶりが光る会社だ。

サイフォンの仕組みに魅せられてコーヒーの道へ

現在、工場長を務める高橋靖彦氏は、入社19年のベテラン。もともと学生時代、実家の近くにあった大和屋で見たサイフォンがきっかけでコーヒーに興味を持ったという。当時はインターネットがなかったので、試行錯誤しながら抽出に没頭。「サイフォンは沸騰したお湯をフラスコに注いで、それを温めながら抽出するのですが、最初はそれすら知らず、水から温めていました」と当時を思い出して苦笑する。

2000年に大和屋に入社し、最初は店舗スタッフとして勤務。その後、焙煎部門に欠員がでるということで、シーアンドシーに転籍、焙煎士として勤務し工場長に抜擢された。現在、複数の卸先に合わせて焙煎方法を日々吟味するという高橋氏。その姿勢と情熱は、サイフォンと向き合っていた研究熱心な学生時代に培われたものかもしれない。

コーヒーをさらに香ばしく
まろやかにする石蔵での熟成

唯一無二の味わいを作る石蔵熟成

シーアンドシーが理想としているのは、上質な酸味、甘味、そして香ばしさや苦味があるコーヒー、と語る高橋氏。それを作り出す第一の工程が、大谷石の石蔵で行う生豆熟成だ。一般的にエイジングコーヒーとも呼ばれており、生豆を特別な環境で保管することで、熟成を促す。

創業者の平湯氏は、隣県の宇都宮市大谷町で採石される大谷石のパワーに注目。耐震性、耐火性に優れ、ミネラルを含むゼオライト成分を有する大谷石は、遠赤外線を放出するため、食品の腐敗やカビの発生を抑制し、鮮度を保ちながら熟成させることができるといわれる。温度や湿度が一定に保たれた大谷石の石蔵で生豆を熟成することで、味の変化が穏やかで口当たりがまろやかになるとのこと。科学的に成分分析はしていないが、官能評価で感じているという。

8台の焙煎機を完備、国産木炭を使用した直火焙煎

同社のコーヒーの味わいを作る第二の工程となるのが、直火式の炭火焙煎だ。炭が発する遠赤外線効果で、生豆の芯まで熱が入りふっくらと仕上がる。また、直火式の焙煎をすることによって、焼き上がりの時に、炭の芳ばしい香りと苦味が生まれる。また同社では不純な香りを含まない国産木炭のみを使用している。

新鮮な豆を届けるために、焼き溜めをしない。同社では焙煎したコーヒー豆を翌日にはお届けすることも徹底している。それを可能にするために、サイズが異なる焙煎機を8台揃え、得意先からの細かなオーダーに対応できる態勢を整えている。「商品や注文量によって焙煎機を変えるのは、手間がかかりますが、それを行えていることは自社の強みでもあります」と高橋氏は語る。

炭火焙煎への飽くなき研究と後進の教育

高橋氏に仕事のやりがいを聞くと、「勉強が尽きないこと」と答えが返ってきた。「例えば焙煎で使用する炭は、ひとつとして同じものがないから、焙煎のプロファイルは組みにくいです。朝、釜に点火した際に、炭の固さや燃え方を考えながら、どうやったら美味しく焼けるのかを研究する。コントロールしにくいことが面白いところなんです」。

焙煎士は高橋氏を含め現在6名。大中小、すべての焙煎機をすべて使えるようになるために、小さな5キロ釜から徐々に大きな釜へとトレーニングを積むそうだ。焙煎機によって炭の量、固さを比べながら、最適な焙煎方法を探す。それが常に勉強になるという。「焼いている人間はかなり楽しいのではないかな」と微笑む高橋氏。石蔵熟成も炭火焙煎もコンピュータで数値化しにくい部分を、人の英知と経験で補っている。その探求は純粋に焙煎士の楽しさにつながり、シーアンドシーのコーヒーの美味しさを形成している。

Company会社情報

会社名 株式会社 シーアンドシー
住所 370-3532 群馬県高崎市中里町842-1 
電話 027-360-6711
FAX 027-360-6715
営業時間 8:00〜17:00
定休日 土、日、祝日
HP http://www.cc-coffee.jp/
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