珈琲人名鑑

大正7年から今に引き継ぐ
香り豊かなコーヒー

株式会社 松屋珈琲店社長 畔栁一夫

大正7年に焙煎卸売業者として創業し、現在は店頭販売も行っている松屋珈琲店。濃くて苦いコーヒーが主流だった時代に、いち早く苦くない香りのよいコーヒーの提供を始めた。先代のころから変わらないコーヒーの価値観を引き継ぐ3代目店主、畔栁一夫氏に松屋珈琲店の今を聞いた。

創業者は日本でコーヒーを広めた立役者

松屋珈琲店の歴史を語る上で、欠かすことができないのがブラジル移民の父とも呼ばれる水野龍氏の存在だ。大正3年、水野氏による移民送り出しの功績が称えられ、ブラジル・サンパウロ政府よりコーヒーの無償提供が行われる。このコーヒーの引き取りに派遣されたのが松屋珈琲店の創業者である畔栁松太郎氏だった。

当時、日本でコーヒーはさほど普及していなかったため、水野氏はカフェ・パウリスタ(サンパウロっ子の意)を創立し、ブラジルコーヒーの販売と普及に着手。畔栁松太郎氏は、同社でコーヒーの宣伝、販売の責任者を務め、神戸店支配人に就任した後、コーヒー焙煎業者として独立。現在につながる、松屋珈琲店の誕生である。

先代から引き継いだのは、香り豊かな体に染み入るコーヒー

肉体労働者が多く、濃くて苦いコーヒーが主流だった戦後、先代は「これからは香りを楽しむコーヒーの時代になる」と、周囲に提案していたという。

2013年より松屋珈琲店の3代目を務めている畔栁一夫氏も、その考えを引き継いでいる。店に並ぶコーヒーは、常時15~20種のシングルオリジンと10種のブレンド。そのほか、喫茶店やレストランからオリジナルブレンドも請け負っている。豊富なラインアップを扱いながらも全てのコーヒーに共通しているのは、豊かな香りがあることだ。

「コーヒーは飲むというより、体に染み入るもの。口にすると、時に心が安らぎ、時にやる気や活力が生まれてくる。コーヒーは味覚だけではなく、五感のすべてで楽しむことができる。とりわけ香りは重要だ」と語る。

歴史を共に歩んできた、世界にひとつだけの焙煎機

豊かな香りとすっきりとした後味で、人々を魅了する松屋珈琲店のコーヒーは、オリジナルの半熱風式の焙煎機で作られている。先代が自ら設計に携わり、高瀬製作所と共同で開発したという、世界に一つの焙煎機は、アメリカ製焙煎機バーンズを研究した小型のもので、厚い鉄板によって安定した温度で焙煎される。店の歴史を共に歩んできた焙煎機と、熟練の焙煎技術。松屋珈琲店ならでのコーヒーはこうして生まれるのだ。

美味しいコーヒーだけを届ける
先代からの徹底した姿勢

徹底するコーヒー豆の鮮度と品質管理

移り変わる時代の中で、空前の喫茶店ブームが起きたときもあった。たとえば高度経済成長期は松屋珈琲店にとっても、店舗展開や規模の拡大にのり出す絶好のタイミングだったが、そうしなかったのには理由がある。

それは「コーヒーは品質が最も重要。品質を絶対に犠牲にしてはならない」という、先代から続く強い想いだ。店舗展開をしたり、大量生産をすれば犠牲にすることが必ずある。コーヒー豆のストックをできるだけ残さないようにすることで、卸先に渡る直前、お客様の口に入る直前まで、コーヒー豆の鮮度と品質管理を徹底している。

松屋珈琲店が目指す、コーヒーのある生活

松屋珈琲店がある虎ノ門エリア。近くにコンビニがあっても、お客様がひっきりなしに訪れるのは、新鮮で美味しいコーヒーが求められている証拠だ。店頭ではブラックコーヒーだけでなく、ミルクコーヒーも販売している。「富士生クリーム入りホットコーヒー」は、通常のミルクをいれたカフェオレではなく、生クリームと牛乳を独自の割合で配合した「オリジナルミルク」から作ったという逸品。ミルクの甘い香りとそれに負けないコーヒーの香ばしさが調和した唯一無二の味わいを楽しめる。

提供する商品の全てに鮮度と品質管理を徹底している松屋珈琲店。それは「La vie en café(コーヒーのある生活)」というコンセプトを掲げ、毎日楽しめるコーヒーを提唱し続ける信念の現れでもあるのだ。

Product商品詳細

株式会社 松屋珈琲店エクストラファンシー

(200g)1,000円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

ベースのコーヒー豆は変わらないものの、その時々のラインアップに応じて変化する「飽きのこない味」をコンセプトとしたブレンドコーヒー。ブレンドはいつも同じ味であるべきという店もあるが、良質な変化は五感を刺激すると考える松屋珈琲店では、この変化を美学と捉えて提案。毎回、新たな味わいを発見できるコーヒーに仕上げている。

この商品を購入する

Company会社情報

会社名 株式会社 松屋珈琲店
住所 105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-16
電話 03-3431-0397
FAX 03-5470-9730
営業時間 8:30~17:30(平日)
定休日 土、日、祝日
HP http://www.la-vie-en-cafe.co.jp/
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE