珈琲人名鑑

コーヒーの地産地消を実現させた
流通のプロフェッショナル

有限会社 コーヒー・ワークス宮の森珈琲代表取締役 中村優

北海道では、道内で創業した自家焙煎コーヒー店のパッケージが大手スーパーに並び、いつでも手軽にコーヒー豆を購入することができる。前例のないこの流通形態を実現させたのは、コーヒー・ワークス宮の森珈琲の社長、中村優氏だ。コーヒー業界の活性化に貢献し続ける中村氏に話を聞いた。

小学生の頃から抱いていた「喫茶店をやりたい」という夢

宮の森珈琲の代表取締役、中村優氏がコーヒーと出会ったのは10歳の頃、1970年にさかのぼる。当時、コーヒーはメジャーな飲み物ではなかったが、父が働いていた米軍基地から持ち帰ったコーヒーをペーパードリップで淹れ、ブラックで飲んでいたという。

小学生の頃から「将来、喫茶店をやりたい」という夢を持っていた中村氏は、高校時代に札幌駅前の有名喫茶店でアルバイトを経験。大学卒業後は家電メーカーを経て、UCCに転職した。コーヒー製造に関わると思いきや、食品卸商社へのコーヒー製品の卸売業務を担当。ここで流通を学んだことが、2000年にコーヒー・ワークス宮の森珈琲を創業する際の橋架けとなっていく。

アメリカのスーパーをヒントにコーヒーの販路を拡大

コーヒー店の商いといえば、直営の喫茶店、通販、業務用卸が一般的だが、それにくわえて同社が始めたのが大手スーパーへの卸だ。個人店のコーヒー豆をスーパーで販売するという新たな販路は、中村氏がアメリカ視察時に訪れたスーパーで思いついたという。

「アメリカのスーパーでは、地産地消の概念から、地元食材を決まった割合で陳列するローカル重視の政策があり、コーヒーもそのひとつでした」。これにヒントを得た中村氏は帰国後、これまで学んだ流通の知見を活かし、アメリカに倣った販路を作りたいと、道内で創業した自家焙煎コーヒー店のオーナーに声をかけた。最初は前例のない試みゆえに渋るオーナーもいたそうだが、現在は6社が参画している。その仕組みはこうだ。

一般的に、商品を流通にのせるためには、商品情報シールを貼り、決まったフォーマットで資料を作成するなど業界のルールに則った準備が必要となる。また商社や取引先との間で発生するやりとりも個人店にとっては負担が大きい。そこで中村氏はこの最も手間のかかる工程を自社で代行。そうすることで、北海道のコーヒーを複数社セットにして流通させるという新たな販路を開拓したのだ。その功績は大きく、現在、スーパーや量販店など約300店で、道内のコーヒー豆が販売されている。

小回りが利くからこそ
ニーズに合う商品を供給できる。

顧客目線を大切に、エリアごとのブレンドを作成

道内に6店舗ある直営の喫茶店では、広々とした空間に個室ブースを設け、長く居られる店舗作りを意識。店内ではブレンドやシングルオリジンにくわえ、「北円山ブレンド」のように出店エリアの名前がついたコーヒーを提供している。エリアによってお客様の世代が異なるため、お客様の感想を反映しながら、顧客目線でコーヒーを作るようにしているという。

甘み、酸味、苦味、コクなどコーヒーを構成する要素は大きく4つあるが、「よほどのコーヒー通でない限り、自分の好みの味を説明することはできないだろう」という考えから、店頭で販売している商品は「コクと苦みのきいたブレンド」のように、2種の味覚を分かりやすく明記している。これもお客様目線に立ち、商品名を見ただけで選べるようにした秘策のひとつだ。

2台の焙煎機がフル稼働し、毎日500キロの生豆を焙煎

「美味しいコーヒーを作るための鍵は焙煎」と語る中村氏。札幌市手稲区にある焙煎工場では、中村氏を含め3人が焙煎を担当している。使用しているのはラッキーコーヒーマシンの焙煎機だ。1日に約500キロもの生豆を焼くため、10キロの半熱風式焙煎機2台は常にフル稼働。2019年9月には30キロ焙煎機も増設される予定だ。

生豆の種類によって異なるが、焙煎は弱火からスタートし、17~25分かけてじっくり。そうすることでブレが少なく、均一な質に仕上がるという。終盤に差しかかると、目視で色をチェック。ベストなタイミングで釜が開かれると、香ばしい香りとともにバチバチと音をたてながら焙煎豆がでてくる。

先見性と柔軟な思考でコーヒーを広めていく

コーヒー業界だけに止まらず食の業界のトレンドや流れ、そしてお客様の動向を常に見ているという中村氏。最近は「嗜好の若年化が進んでいる」と、北円山店では道内の人気ドーナッツ店とのコラボレーションもスタートさせた。また、電子決済も率先して対応するなど、時代の流れにも敏感だ。道内に新たな流通ルートを開拓し、コーヒーの地産地消を実現した中村氏。柔軟な発想と先見性を持つアイデアマンとしてこれからも注目しておきたいひとりだ。

Product商品詳細

有限会社 コーヒー・ワークス宮の森珈琲北円山ブレンド

(100g)530円(税別)

  • 価格は取材時点のものになります

ブラジル、コロンビア、モカを中煎りと深煎りに焙煎しアフターミックスした、北円山店オリジナルブレンド。冷めても酸味や渋みのない、まろやかなコクと程良い苦みのあるコーヒー。パッケージは中村氏自身が商品をイメージしながらデザインした。

※現在、通販は行っておりませんが、店頭で購入可能です。

Company会社情報

会社名 有限会社 コーヒー・ワークス宮の森珈琲
住所 060-0005 北海道札幌市中央区北5条西22丁目2-3 
電話 011-622-0828
FAX 011-622-5133
営業時間 10:00〜20:00(月〜土曜日)、10:00〜18:00(日・祝日)
HP http://www.miyanomori-coffee.com/
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