珈琲人名鑑

プライベートブランドを多数製造
コーヒー業の原動力は夢とロマン

株式会社 サンパウロコーヒー代表取締役社長 久野富雄

1979年に東京・蒲田で創業したサンパウロコーヒー。高級スーパーマーケットのプライベートブランド商品をはじめ、月に60トンものコーヒーを製造している。商品のクオリティにシビアな顧客から同社が選ばれる理由は何か? 代表取締役社長の久野富雄氏に熱き心意気をうかがった。

創業のきっかけは、母親が始めた小さな喫茶店

1979年に東京・蒲田で誕生し、今年2019年に創業40年を迎えたサンパウロコーヒー。現在2代目社長を務める久野富雄氏の家系は、親世代からコーヒーとの縁があり、母は同社が創業する前に自宅の玄関口で喫茶店を営んでいたという。また、富雄氏の父は飲料メーカーで働いていたが、勤務30年を機に退職。大学を卒業した富雄氏とともに親子でサンパウロコーヒーフーズ(2018年7月にサンパウロコーヒーに社名変更)を創業した。

当時から変わっていないクラシックなタイポグラフィのロゴは富雄氏の父がデザインしたもの。業界の頂点に立つことを目指して、星のてっぺんにコーヒー豆があしらわれている。

ヨーロッパで味わったコーヒーを再現するため自家焙煎を開始

創業初期は自社で焙煎を行わず、仕入れたコーヒー豆をさまざまな食材とともに喫茶店に卸すのが主だったが、1983年に富雄氏が参加した、あるツアーで転機が訪れた。それは商社が企画したヨーロッパ・コーヒーミッションという、コーヒー消費国を視察するためのツアーで、西ドイツ、イギリス、オーストリア、フランスを訪問。オーストリアのウィーンでは、伝統的なチョコレート菓子、ザッハトルテと一緒に味わうウインナーコーヒー(アインシュペンナー)を、そしてフランスのパリでは感動的なカフェオレに出会い、富雄氏は日本と全く違うコーヒー文化とその味わいに驚いたという。「あの感動を日本でも再現したい」と、帰国してまもなく2キロの小さな焙煎機を購入。コーヒーの専門書を買って独学で勉強しながら、同業者に相談し焙煎の知識と技術を身につけていった。

現在、同社の焙煎は直火式焙煎機を構える大森の焙煎工場と、熱風式焙煎を委託する静岡の工場の2箇所で行なっている。焙煎に携わって35年になる富雄氏だが「まだまだ勉強です。自分が理想とする焙煎には行き着いていません」という。その言葉からは、高い理想と職人気質が感じられる。

月60トンものプライベートブランド商品を製造

現在、主要な取引先は全国の生協や高級スーパーマーケットなどで、月に60トンものプライベートブランド商品を製造、卸をしている。商品のクオリティにシビアな顧客になぜサンパウロコーヒーが選ばれるのか? 富雄氏はその理由を職人気質の商品企画と築き上げてきた信頼関係にあると見ている。

「コーヒーは何よりも鮮度が大事。お客様が封を開けた時に、コーヒー豆のかぐわしい香りを感じていただきたい」という想いから、生協の場合は日本各地の配送スケジュールに合わせて受注生産を行い、焙煎日をパッケージに刻印した商品を納めるシステムを確立。配送のスケジュールにあわせて焙煎するのは手間がかかるが、大量生産ではない同社だからこそできる、鮮度にこだわった商品だと自負している。

また、静岡県で20店舗ほどを展開するスーパーマーケットのプライベートブランド商品を手がけた際には、商品の特徴を売り場の従業員に知ってもらうために、現地で勉強会を開催。従業員の士気が大いに高まったという。取引先を自社のことのように考える富雄氏の姿勢は、強い信頼関係作りに寄与しているに違いない。

大切なことは、いかに
良い生豆を安定して仕入れるか

社員全員がコーヒーのスペシャリスト

多くのプライベートブランドを製造する同社が、コーヒー豆を安定して卸すために最も重要視しているのが仕入れだ。同社では、商社などから取り寄せた生豆を社員がカッピングし5段階の点数表で評価。社内基準を満たすものだけを仕入れている。

サンパウロコーヒーでは、9名の社員全員がコーヒーの資格保持者で、うち2名がJ.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター1級を保持、焙煎士はカッパーとしての資格も保有している。社員全員がコーヒーのスペシャリストとして、質の良い生豆を選び、仕入れ、焙煎を行うことで、クオリティにシビアな顧客も満足する味わいが作られている。

コーヒーで夢を叶え、ロマンを追い続ける

「コーヒー焙煎業は天職だと思っている」と語る富雄氏だが、プライベートブランド商品を多数受注するなど、経営者としての功績も偉大だ。そんな同氏に大事にしていることを聞くと、「夢とロマン」という答えが返ってきた。夢は努力して掴むもの。ロマンは追い続けるもので、それはコーヒーとの向き合い方にも重なっているようだ。

コーヒー業者として売り上げを伸ばし、会社を成長させていくことは、決して簡単なことではない。努力を持って、好きなコーヒーを生業にする夢を実現しながら、もっと美味しいコーヒーを作りたいとロマンを追い続ける同氏。今後はアジアへの進出も考えているとのことで、新たな夢の実現に向けて動き出している富雄氏の姿は生気に満ち溢れていた。

Product商品詳細

株式会社 サンパウロコーヒーファクトリーブレンド No.88 (ビターブレンド)

(180g)810円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

サンパウロコーヒーが1988年に作った歴史あるメインブレンド。カッピングを経て仕入れたアラビカ種100%のスペシャルティコーヒーのみを使用し、ジャーマンローストで焙煎。酸味がなく、コーヒー豆の甘味とコクを最大限に引き出したほろ苦い味が特徴。同社での人気No.1。

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Company会社情報

会社名 株式会社 サンパウロコーヒー
住所 144-0051 東京都大田区西蒲田7-52-5 
電話 03-3734-5540
FAX 03-3734-4520
営業時間 9:30〜18:00
定休日 日、祝日
HP http://www.saopaulo.co.jp/
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