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珈琲人名鑑

“農園からカップまで”を支える
コーヒーへの志

株式会社 サザコーヒー会長 鈴木誉志男

国内14店舗を構えるサザコーヒー。高品質な生豆と巧みな焙煎、そしてコロンビアではコーヒー栽培にも取り組んでいる。2017年には自社農園のコーヒーが品評会で優勝するなど華々しい功績がある一方で、実はここにたどり着くまでに何度も乗り越えてきた逆境がある。サザコーヒーの強さの秘密を会長の鈴木誉志男氏に聞いた。

「且座(サザ)」に込められた想い

サザコーヒーの歴史は鈴木誉志男氏の父が、現東宝の前身となる北関東一の映画館を作ったところに始まる。当時、映画はモダンな娯楽。誉志男氏は同社の興行プロデューサーとして活躍していた。しかし、映画業界が冬の時代に入り、映画館内でコーヒーの提供を始めた。もともと強い興味があったわけではなく「生活のために」コーヒーを生業としたが、徐々にその面白さに開眼。社名の「サザ」とは、茶道の精神である「且座」に由来し、「さぁ、座してお茶を飲んで下さい」の意味。おもてなしの基本を誓う意味でつけられた。

卓越した焙煎技術から生まれる理想のコーヒー

サザコーヒーが理想としているのは、クリーンで後味がよく、ミルクや砂糖を入れずに飲めるコーヒー。日本はダシの食文化がある水の国。水の良さを活かしつつ、卓越した焙煎技術でその味が作られている。

コーヒーを作る焙煎機は1970年代から使用している西ドイツ製、45キロのプロバットだ。「優れた焙煎機はコーヒー豆を大きく膨張させる」と考えて導入。これとは別に35キロのアメリカ製スマートロースターもあり、生豆の種類や個性によって使い分けている。

焙煎は約15分をかけてじっくり。コンピューターで全て管理することもできるが、機械に頼らないのがサザ流。焙煎士が目、鼻、耳を使い、日ごとに異なる環境にあわせて焙煎を微調整する。また焙煎の終盤、生豆の味を最大限に引き出し、甘い香りを放った瞬間に焙煎機から取り出している。

年間100日以上は産地へ。生産者とのつながりを大切に

生豆の仕入れは、誉志男氏の息子で副社長の太郎氏が担当している。年間100日以上を海外で過ごす太郎氏が大切にしているのは生産者とのつながりだ。信頼関係ゆえに、良い出来の年には生産者が優先的に生豆を提供してくれる。

なかでもパナマ・ゲイシャはサザコーヒーが特に力を入れている生豆のひとつで、ここ10年間は毎年No.1のロットを最高価格で落札。そこまでこの生豆に魅了されるのは、品種に由来する、比類なき甘い香りとフレーバーだ。

美味しいコーヒーを作る、
その挑戦は農園から

10年以上かけて結実したコロンビアの自社農園

サザコーヒーは自社で農園開発にも挑戦している。1996年、コロンビアに農園を購入。東京農大で果実を学んだ太郎氏が現地へ送り込まれた。

コロンビアはサザコーヒーが目指すマイルドコーヒーの産地。中南米特有のやわらかくてバランスの取れた味わいは、世界でも認められている。

農園の購入から約20年。手間暇を惜しまず続けた栽培は実を結び、2017年にはついにコロンビア・カウカ州の品評会で優勝。「良い品種を植え、ハンドピックで丁寧な収穫をし、精選処理場も整え直した。さらに、コロンビアの父と呼ばれるモレノ博士に栽培の指導を依頼し、やっと成し遂げられたこと」と、誉志男氏は謙虚に語る。

逆境に負けない志とおもてなしの心

その功績だけを見ると華やかな一面だけしか見えないが、コロンビアの農園を維持するのは、大変な苦労も伴ってきた。農園を購入した当時は治安も悪く「命の保証ができない」と言われた地で、太郎氏はコーヒー栽培を始めた。

またコロンビアを襲った、さび病により農園のコーヒーは全滅している。かなりの痛手と予想できるが、誉志男氏は「コーヒーをやるためには志が必要だ」と力強く話す。

取材時、満席だった本店でウェイティングのお客様を見かけた。「こういう日は、私もよく皿洗いをするんです」と語る誉志男氏の言葉に驚いた。逆境に負けず、高い志で作られたコーヒーをお客様に届ける。そこには、 “珈琲人の本質”と、店名に由来する“おもてなしの心”が見えた。

Product商品詳細

株式会社 サザコーヒーサザスペシャルブレンド

(200g)1,200円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

契約農園のコーヒーだけで作られている「サザスペシャルブレンド」は一番の人気商品。ブレンドコーヒーの黄金配合と言われる、モカ、コロンビア、グアテマラ、ブラジルを使用しており、誉志男氏が理想とするクリーンで後味の良さが魅力。創業直後に生まれた商品で、良質な素材と焙煎にこだわってできた自慢のブレンド。

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Company会社情報

会社名 株式会社 サザコーヒー
住所 312-0043 茨城県ひたちなか市共栄町8-18 
電話 029-274-1151
FAX 029-274-1010
営業時間 10:00〜20:00
Mail saza@saza.co.jp
HP http://www.saza.co.jp/
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