珈琲人名鑑

新たなコーヒーを生み出す原動力は、
ブレンドへの情熱とインディーズマインド

株式会社 昴珈琲店代表 細野修平

広島県呉市でコーヒー販売店を営む、昴珈琲店。先代からブレンドコーヒーにこだわり、地元のお客様に愛されるコーヒーを作り続けてきた。国内で数少ないJ.C.Q.A.認定コーヒー鑑定士でもある、2代目の細野修平氏に、ブレンドに対する思いを聞いた。

海軍の街で生まれたブレンドコーヒー

広島県呉市に本店を構える昴珈琲店の創業は1959年。海軍の街であった呉市は、西洋文化の入口でもあったためハイカラな人が多く、コーヒーも早くから親しまれていた。

とはいえ、その頃はまだ輸入される生豆の種類は多くはない。創業者の細野治雄氏は、お客様を飽きさせないため、オリジナルのブレンドコーヒーに力を入れていた。治雄氏の時代から今なお愛され続けている定番商品に、「Bmix」というブレンドがある。近年、その「Bmix」を最新の味覚レーダーに通したところ、酸味・苦味・複雑さ・コーヒー感・苦味の後味・コクといった6つのバランスが非常に秀逸だったという。修平氏は「やっぱり親父にはかなわないな、って思いましたね」と唸る。

ニューヨークで決心したコーヒーへの道

そんな修平氏が父から代を引き継いだのは1992年のこと。しかし、修平氏は最初から後を継ぐことを決めていたわけではなかった。

「大学時代は、一生の仕事としてできることは何かを模索していました。そんなとき、たまたま親父の友人に『ブラジルに行かないか』と誘われたんです。『それなら旅行ではなく、首までコーヒーに浸かりたい』と無理を言って、数ヶ月のコーヒー留学をさせてもらいました」

ブラジルとジャマイカのコーヒー農園を訪れ、現地の人たちと一緒に朝から晩まで働く。日々、新しいことを目の当たりにし、吸収していく生活は面白かったと振り返るが、進路を決める決定打にはならなかったという。

しかし、為替やコーヒーの相場を学ぶために訪れたニューヨークで、運命を変える経験をする。ワールドトレードセンターにあったニューヨーク商品取引所に、特別に入場させてもらったときのことだ。

「入った瞬間に、ブワーッという熱気が押し寄せてきたんです。ココアや砂糖と一緒に、コーヒーが堂々と取引されているのを目の当たりにした瞬間、すべてがつながっちゃいました。ニューヨークにいるのに、コーヒー農園が見えたし、親父がいる呉の店も見えた」

その瞬間、修平氏は人生を通してコーヒーに関わり続けることを決めた。日本に戻ったら父の後を継ぎ、世界各地の農園で作られたコーヒーを日本の消費者に届ける仕事をしていくことにしたのだ。

飽くなきクリエイティビティが
新たなブレンドを生み出す

「ブレンド至上主義」を掲げる理由

代を譲るとき、父は修平氏に「やりたいようにやれ」と伝えた。その言葉通り、修平氏は新規出店や新商品の開発など、「やりたい」と思ったことは次々と挑戦する。しかし、父と同様、ブレンドへのこだわりは守り続けている。

「コーヒーの味わいは、素材そのものである生豆の比重が多いと言われていますが、僕は自分が作り出す味で勝負したい。ほとんどコーヒーの採れないこの国でも、ブレンドによって、生産国にはない味と香りを作り出すことができる。だから『日本はコーヒーの第二の生産国』という思いを込めて、弊社の商品には日本の国旗をつけているんです」

昴珈琲店が扱うブレンドコーヒーは常時15〜16種類。ストレートコーヒーも合わせると、修平氏は年間40トン近くも焙煎をする。しかも、同じ商品でも季節によって焙煎度合を変える、非常に繊細な作業を日々行なっているという。これも、「夏と冬で食べるものが変わるのに、コーヒーは同じでいいはずがない」という父からの教えによるものだ。

独創的なカップオンタイプコーヒーを開発

昴珈琲店の人気商品に、カップオンタイプのドリップバッグコーヒーがある。特徴的なのは、フィルターの形。他ではあまり見ない「円すい形」を採用している。

世にある多くのカップオンタイプの商品は、どれも「味が薄い」と感じていた修平氏。その原因が抽出効率の悪さにあると考え、抽出効率の良いフィルターの形を検討した結果、最も理想的なコーヒーを抽出できたのが円すい形だったのだ。「他にない形だからコストもかかりましたし、商品製造用のマシンを開発したメーカーとケンカもしましたけどね(笑)」。

こだわり抜いて生まれたドリップバッグコーヒーは、最初は1種類のみであったが、あれよあれよと言う間に、どんどんラインナップが増えていき、その数なんと40種類以上。レコードやCDの“ジャケ買い”感覚で楽しめるように、パッケージも一点一点オリジナルで製作しているこだわりようだ。

インディペンデントへのこだわり

これまでも「やりたいようにやってきた」という修平氏は、これからも「やりたいことをやり続ける」という。

「現状には満足しています。自分で納得できないものは置いていないし、僕が好き勝手やっている昴珈琲店のことを、お客さんもスタッフも面白がって、『そのままでいい』と言ってくれています。大きくしようとは思っていません。メジャーになると面白くなくなることも多いじゃないですか。メジャーよりかっこいいインディーズバンドも、たくさんある。僕もそれを目指していきたいですね」

さらなる品質を求めて、難関とされるJ.C.Q.A.認定コーヒー鑑定士を取得。
修平氏は「一生、インディペンデント」宣言を掲げ、今日も自らの感覚と感性を信じながら、オリジナルの味を生み出し続けている。

Product商品詳細

株式会社 昴珈琲店KING OF ICE

(1,000ml)700円(税別)

  • 価格は取材時点のものになります

昴珈琲店のアイスコーヒーは、春/夏/盛夏/秋冬と、季節ごとに味が変わる。「お客さんが食べるものに合わせて、コーヒーも味を変えるべき」という先代の考えを受け継いでいるのだ。当初は、手淹れしたコーヒーをペットボトルに詰めるという手作業で販売していたが、好評につき工場生産にシフト。今では年間2万本以上製造するほどの、人気商品になっている。

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Company会社情報

会社名 株式会社 昴 珈琲店
住所 737-0046 広島県呉市中通2-5-3 
電話 0823-21-7730
FAX 0823-21-9055
営業時間 9:00〜17:00
定休日 火曜日
Mail cafe@subrucoffee.co.jp
HP https://www.subarucoffee.co.jp/kure
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