珈琲人名鑑

お茶処、静岡で愛されるコーヒー
地域とのコミュニケーションが鍵

株式会社 トミヤコーヒー製造部沼津工場長 佐野勝己

お茶処、静岡県で1932年に創業したトミヤコーヒー。県内の取引先と密にコミュニケーションをとり、エリアによって異なるニーズを把握することで、長きにわたって支持されるコーヒーを作り続けている。今回は歴史を継承する担い手の一人、沼津工場長の佐野勝己氏にコーヒー作りにかける想いを聞いた。

お茶の産地・静岡で続く、老舗コーヒー卸店 

戦前の1932年、トミヤコーヒーは静岡県下で唯一のコーヒー卸店、トミヤ珈琲店として創業した。お茶処で知られる同県で、いち早くコーヒーに着目した創業者の大石富造氏は、まさに先見の明の持ち主といえる。戦中には企業整備令により一時休業を余儀なくされたが、1949年に沼津市で事業を再開。かつてある調査では47都道府県でもっともコーヒー消費量が少ないといわれた静岡県だが、同社のコーヒーは約90年にわたって静岡県の人々の生活のなかにあり、それは大きな功績と言える。

コミュニケーションを強みに、エリアによって異なるニーズを把握

「日々こまめに、地域のお客様とコミュニケーションがとれることが、弊社の強みです」。そう語るのは、沼津工場長の佐野勝己氏だ。現在、静岡県内に6拠点、山梨県内に1拠点を持ち、同エリアの喫茶店やレストラン、ホテル、温泉旅館にコーヒーを届けている。あまり知られていないが、静岡県は東部・中部・西部の大きく3つのエリアに分かれ、街の様子はもちろん習慣や方言、客層や味の嗜好などに異なる傾向が見られる場合もあるため、日々のお客様とのコミュニケーションがより活きてくることも、やりがいの一つであるという。

各支店の営業担当者は、煎りたてのコーヒーを届けると同時に、同県特有の文化を把握し、地域のお客様の声をひとつひとつ吸い上げる。「この先も歴史を刻み続けるためには、もっとも身近な地域の人に『美味しい』と言ってもらえるコーヒーを作ることが第一だと思っています」と佐野氏。こまめに顔を合わせながら得たお客様の声を、商品作りにいかすことで、常に地域と寄り添ってきたのだ。

契約農園へ赴き、生育環境の確認やカッピングを経て仕入れを決定

「87年愛されてきた美味しさが、何よりの誇りです」と話す佐野氏。歴史ある味を作る上でもっとも重要と考えるのが、原料である生豆の調達だ。常に品質の維持や安定供給に努め、仕入れ時には収穫の年度や時期はもちろん、生育中の天候まで細かくチェックしている。

主要銘柄は農園指定、エリア指定など、各生産国から厳選調達。主力銘柄の一例として、標高1250~1650mのところにあるグアテマラ・サンタマルガリータ農園が挙げられる。実際に現地へ赴き、生育環境、収穫、発酵、洗浄、乾燥、選別までの工程を確認。カッピングを行なった上で契約したという。そうして仕入れた生豆は、プロバット社 R750型、125キロ釜の熱風式焙煎機を使って焙煎。一粒一粒にムラなく熱を伝えながら、ふくよかにそして香り豊かに仕上げている。

喫茶店で飲んだ自社のコーヒー
感動した味を後世に残したい

歴史の継承者の一人であることが誇り

8年前までは、自身も沼津支店の営業担当者だった佐野氏。入社当初、配達先の古い喫茶店で、ネルドリップで淹れてもらった自社のコーヒーの味が忘れられないという。「初めてコーヒーに甘みを感じたんです。そして心地良い香りがとても印象的でした。この伝統と味を後世にも残していきたい、そう思いました」と語る。現在、工場勤務となり、自分がその歴史を継承する役割を担っていることが誇りだと、佐野氏は嬉しそうに語る。

伝統を守るため、選ばれるコーヒーを作りたい

コーヒーは、コンビニやファストフードでも提供されるようになり、幅広い価格と選択肢のなかから選べるようになった。「私たちはこの先も自社の伝統の味を守っていくために、自社のコーヒーを選んでもらえる努力をしなくてはなりません」と佐野氏。同社はその一環として、より気軽に新鮮で美味しいコーヒーを飲んでもらう場を作りたいと、2016年に直営店、富屋珈琲店を静岡市内に、2018年には沼津市内にオープン。地域の消費者の声を聞き、ますます地元と蜜月の関係を築こうとしている。

静岡の人々の生活のなかで、お茶と同様にいつもそばにあった同社のコーヒー。時代が変わろうとも確かな味と地域との強い結びつきがある限り、トミヤコーヒーの歴史は続いていくだろう。

Product商品詳細

株式会社 トミヤコーヒー太陽と大地のブレンド

(100g)453円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

商品コンセプトは、力強いメキシコの太陽と大地。メキシコをベースに、コロンビア、ブラジルの生豆を各銘柄に合わせた焙煎度で仕上げ、ブレンドしている。やわらかい苦味と豊かな香り、切れのいい後味など、バランスがとれた味が魅力。全自動マシンでもドリップでも美味しく抽出することができる。

※店頭のみで販売
※ふるさと納税サイト「さとふる」にて購入可能(2019年時点)

Company会社情報

会社名 株式会社 トミヤコーヒー
住所 410-0314 静岡県沼津市一本松上原81-2
電話 055-968-1038
FAX 055-968-1083
営業時間 9:00~17:30
定休日 土、日曜日
HP http://www.tomiya-coffee.co.jp/
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