珈琲人名鑑

創業当時からの味を守り、
現代に受け継ぐ伝道師

株式会社 ユニマットキャラバン焙煎士 有泉映希

レストランやカフェなどの事業を展開するユニマットキャラバンのコーヒーブランド、キャラバンコーヒー。同社の直営店およびカフェ、そして全国の大手スーパーや喫茶店などの取引先へ卸すすべてのコーヒー豆は、横浜市金沢区にある横浜工場で焙煎されている。ブランドの味を守り続けるキーパーソンともいえる焙煎士の有泉映希氏に、仕事にかける情熱と思いを聞いた。

創業者が目覚めたブレンドの面白さ

キャラバンコーヒーの始まりは1928年にまで遡る。「まったく新しい文化を日本に広めたい」という強い探究心を持った創業者の永田一郎氏が、前身のミカドヤ商店を西欧文化の玄関口でもあった横浜港にほど近い馬車道に立ち上げた。ミカドヤ商店では輸入食品を扱っており、その主要商材のひとつが自家焙煎コーヒーだった。

当時のコーヒーは、シングルオリジンが主流。しかし永田氏はいくつかのコーヒー豆を掛け合わせ、新しい味を生み出すブレンドに面白さを見出し、まだ誰も飲んだことのない美味しいコーヒーをつくるべく、独自に研究・開発を進める。そうして生まれたのが、「キャラバン」ブランドというブレンドコーヒーのブランドだった。

100年目に向けて、ブランドの原点に立ち返る

現在ユニマットキャラバンは、コーヒー豆の販売店とカフェを合わせて計18の直営店を運営している。コーヒー豆を卸す取引先は数千軒という規模にまで成長した。商品ブランドのキャラバンコーヒーは誕生から90年以上が経ち、100年の大台も視野に入ったこのタイミングで、創業者の「美味しいコーヒーをつくりたい」という思いの原点に立ち返り、商品ラインナップの見直しに取り組もうとしている。

ここまで続いた伝統の美味しさを守り続けるためにも、新しい挑戦をし続けなくてはいけない──。そんなブランドの思いをまさに体現しているのが、会社初の女性焙煎士である有泉映希氏だ。

飲む人の「オアシス」になる
コーヒーを目指して

伝統の味を守るため、旧式の焙煎機を使い続ける

キャラバンコーヒーのすべての製品を製造する横浜工場では、1日に5,000キロを超える生豆を焙煎している。それをたった4人の焙煎士で担当しているというから驚きだ。5台ある焙煎機のうち、有泉氏が担当するのは70キロ釜と5キロ釜の2台。どちらも、かなり年季が入っている。

「最新の焙煎機には、コンピューターで細かく温度管理をしてくれるものもあります。でも、長年使い、コーヒーの油が染み込んだ焙煎機でしか出せないスモーキーな風味が、キャラバンコーヒーの特徴。ちょっと不便かもしれませんが、伝統の味を守るためにもこれを使い続けたいですね」

人の目と色差計で品質を徹底管理

旧式の焙煎機で安定した味をつくりだすには、人の目と手による細かな調整が欠かせない。設定した焼き上がりの温度が近づくと、有泉氏は焙煎機から何度もテストスプーンでコーヒー豆を抜き取り、焼き色を確認する。そして、サンプルのコーヒー豆の色と同じになった瞬間を見極めて焙煎を止め、素早く冷却する。

冷却を進めながら、コーヒー豆の一部を取り出して挽き、シャーレに入れて別室に運ぶ。「品質管理課」と書かれた扉の奥には分析士が待機しており、L値と呼ばれる焙煎度合の数値を計測する。あらかじめ設定されたその製品の標準値と比較し、その差が-0.4〜+0.4以内であれば、製品として合格。こうした厳しいチェックを経て、キャラバンコーヒーの品質は守られている。

このときの計測値は、標準値の+0.1。合格ラインだ。「ブレンドだと色ムラが出やすいんです。色の薄いコーヒー豆に目がいきがちですが、それにとらわれてしまうと全体の焙煎度合が見えなくなってくる。“引いて見る”ように心がけています」。

向上心を持ち、伝統をアップデートし続ける

手慣れた様子で焙煎機を扱う有泉氏だが、焙煎士歴はまだ1年。入社後7年間は、直営店でコーヒー豆の販売、コーヒーや料理の提供などを担当していた。「販売を続けるうちに、お客様に美味しいと思ってもらえるコーヒーを自分でも作りたいという思いが強まり、異動の希望を出しました」。

無事に希望が叶い、焙煎士としてのキャリアを歩み始めて1年が経った。先輩からも「成長が早い」と認められる、期待のエースだ。そんな有泉氏が仕事で大切にしていることは?

「向上心です。自分で焙煎したコーヒーをカッピングして、『今日は昨日よりちょっとよく焼けたな』って確認したりもしています。飲んだ人に感動を与えられるような、その人のオアシスになるような、そんな美味しいコーヒーを作れるようになりたいですね」

近々、ハンドドリップの大会にも出場する予定だという。焙煎以外の知識も積極的に吸収し、高みを目指し続ける有泉氏が守る「伝統の味」がどう進化していくか、今後に期待が高まる。

Product商品詳細

株式会社 ユニマットキャラバンゴールデンキャメル

(150g)750円(税別)※通販は200gから販売

  • 価格は取材時点のものになります

ブレンドがまだ珍しかった1970年代に開発された、ブランドを代表するコーヒー。まろやかな甘みと深いコク、豊かな香りが特徴。当時から変わらぬ美味しさを守り続けるために、コーヒー豆の配合や焙煎など、細かい調整を繰り返しながら作られている。

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Company会社情報

会社名 株式会社 ユニマットキャラバン
住所 107-0061 東京都港区北青山2-7-13 プラセオ青山ビル 5階
電話 03-6447-5061
FAX 03-6447-5066
営業時間 9:00〜17:45(平日)
定休日 土、日、祝日
HP http://www.unimat-caravan.co.jp/
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