ただの「酸っぱさ」とは違う。コーヒーの良質な酸味を楽しもう

「苦味」「コク」などと共にコーヒーに欠かせない「酸味」。身近なワードではありますが、実はコーヒーの「酸味」は正しく理解されていないことも少なくないようです。今回はそんなコーヒーの「酸味」の正体に迫るとともに、良質な「酸味」を堪能できるコーヒーを楽しむためのハウツーを、コーヒー豆の選び方から抽出方法まで徹底的にお届けします。

1.コーヒーに「酸味」がもたらされる理由

コーヒーの個性を表す際に用いられる「酸味」というワード。一般的に「酸味」というと「酸っぱさ」と考える人が多いですが、コーヒーの酸味は他の食品のそれとは少し違い、もっと奥深いものなのです。「酸味が苦手」と思っていたあなた、それは本当の酸味ではないかもしれません。まずは、正しいコーヒーの「酸味」を学びましょう。

そもそもコーヒーの「酸味」ってなに?

コーヒーというと焙煎された茶色のコーヒー豆のイメージが強いと思いますが、元は「コーヒーチェリー」と呼ばれる赤い果実の種子を取り出したものなのです。つまり、コーヒーの酸味の正体は果実由来のフルーティーさのことです。コーヒー本来の「酸味」は、フレッシュさやキレの良さにも繋がるコーヒーの大きな魅力の一つです。

コーヒーの酸味の種類

一口に「酸味」といっても程度も種類もさまざまです。酸味の強さは、「強い」・「弱い」・「適度な」といった形で表現されることが一般的です。酸味の種類に関しては「爽やかな」・「すっきりした」・「華やかな」といった表現のほか、オレンジ・レモン・グレープフルーツ・マスカット・ベリー・カシスといったなど、果物に例えた表現もあります。

悪い酸味の正体

コーヒーの魅力でもある果実由来の「良い酸味」がある一方で、苦手と言われがちな「悪い酸味」も存在します。

良い酸味にはフルーティーなフレッシュさがあり「おいしい」と思えるものですが、悪い酸味とは
いわゆる角の立ったツンと鼻をつく「酸っぱさ」のこと。この酸味はおいしさとは程遠く、コーヒーの鮮度や抽出方法などが正しくないことなどが原因で発生するものです。

これはコーヒーの正しい酸味ではないのですが、これがコーヒーの酸味だと思い込み、苦手意識を抱く人が多いのも事実です。コーヒー通の皆さんは、コーヒーの正しい酸味を理解して、酸味のおいしいコーヒーを存分に楽しみましょう。

2.酸味がおいしいコーヒー豆を見分けるポイント

正しいコーヒーの「酸味」をご理解いただいたところで、次は酸味がおいしいコーヒー豆を見分ける方法を伝授します。酸味はコーヒー豆の産地や品質、焙煎度、その他のコンディションによっても大きく変化するものなのです。

コーヒー豆の産地・品質

コーヒー豆の酸味は産地によって異なります。酸味が楽しめるコーヒー豆を、産地別にその特徴とともにご紹介します。

ブラジルのコーヒー豆は甘味を含む柔らかな苦味と適度な酸味が特徴です。バランスが良く飲みやすいのでコーヒー初心者にもおすすめです。甘い香りと共にすっきりした酸味が楽しめるコーヒー豆としては、メキシコやグアテマラのものが有名です。

キリマンジャロはタンザニア産のコーヒーの日本での呼称で、強い酸味と芳醇で重厚な味わいが堪能できます。ケニアやエチオピアといった同じアフリカ系のコーヒー豆も似た特徴を持っています。

ハワイ島で獲れるコナコーヒーも爽やかな酸味が魅力で、値は張るものの多くのファンがいます。

いずれのコーヒー豆も、産地だけでなく品質によっても差が出ますので、欠点のあるコーヒー豆の混入のない上質なものを選ぶことが大前提です。

焙煎度の違い

コーヒーの味や風味は焙煎によって生み出されます。したがって、焙煎方法はコーヒーの個性を大きく左右します。焙煎業者などによっても風味は異なりますが、一般的に焙煎時間が長くなると酸味が減り苦味が増すといわれています。

同じコーヒー豆を焙煎する場合の酸味は、強い順から「ライト(浅煎り)→シナモン(浅煎り)→ミディアム(中煎り)→ハイ(中煎り)→シティ(中煎り)→フルシティ(深煎り)→フレンチ(深煎り)→イタリアン(深煎り)」となります。

焙煎が浅いと酸味とともに華やかな香りも楽しめますが、焙煎が深くなると酸味は弱くなり、その分苦味やコクによる重厚感が増します。好みにもよりますが、酸味が前面に出たコーヒーが飲みたければ、浅煎りに適したキリマンジャロなどで試してみてはいかがでしょうか。

コーヒー豆の販売方法

コーヒーの良質な酸味を楽しみたければ、コーヒー豆がそのままの状態で売られているか、粉にした状態で売られているかにも注目したいものです。

おすすめは断然、コーヒー豆の状態での購入です。もちろん粉になった状態だと使い勝手が良く便利ではありますが、空気に触れる面積が大きい粉の状態では簡単に変化してしまいます。良質な酸味はコーヒー豆の変化により損なわれてしまいます。熱い状態ではその差があまり気にならないという人もいますが、冷めると嫌な酸味が出ていることに気づくでしょう。味を優先するのであれば、変化のスピードが遅いコーヒー豆の状態で購入して、飲むときにその都度挽くのがおすすめです。

3.酸味が美味しいコーヒーの淹れ方

せっかく酸味がおいしいコーヒー豆を用意しても、淹れ方を間違えると本来の味を楽しむことができません。上質な酸味のコーヒー豆を使って、おいしいコーヒーを味わうコツをお教えします。

コーヒー豆の挽き方

同じコーヒー豆で淹れるコーヒーでも、コーヒー豆の挽き方によって酸味の強さが変わります。酸味を強く感じるためには粗めの挽き方がおすすめです。

コーヒーを淹れる時は、はじめに酸味成分が抽出されて後から苦味やコク成分の抽出されるため、挽き方が細かいほうがお湯に触れる体積が大きくなり、じっくりと苦味やコクが出ます。逆に粗い挽き方のコーヒー豆は苦味やコクが出きらないため酸味が際立つコーヒーになるというわけです。

お湯の温度

コーヒーを淹れる際のお湯の温度も、コーヒーの酸味に影響を及ぼします。

酸味はお湯の温度とあまり関係なく抽出される一方で、苦味成分の一部は温度が低いと出にくいという特質を持っています。これを利用して、少し冷ましたお湯を注いでコーヒーを淹れると、苦味成分の一部が抑えられることにより酸味を堪能しやすくなります。また、高い温度のお湯より酸味の角もとれてマイルドな甘みも感じられるという点でもおすすめです。酸味の強いコーヒー豆を用いた場合、その差がわかりやすいでしょう。

さらに、抽出時間も短めの方が酸味を感じやすいです。酸味はすぐに出切る性質がありますが、苦味は時間と共に強まる傾向にあるため、抽出時間が長いと苦味が前面に出て酸味が感じづらくなることもあります。

おいしいコーヒーを長く楽しむ保存方法

コーヒーを保存する上で特に気をつけたいのは、湿気・酸素・直射日光・高温です。どれもコーヒー豆の大敵ですから、可能な限りこれらを遮ることのできる容器で保存するのが望ましいです。

温度の観点から暑い季節は特に冷蔵庫での保存がおすすめですが、コーヒーは香りが大切なので他の食材のにおい移りのないよう気を付けましょう。

4.酸味がおいしい一杯で素敵なコーヒーブレイクを

コーヒー好きな人ならこだわりたいコーヒーの「酸味」。良質なコーヒー豆を選び正しい手順で淹れることで、コーヒー本来の「酸味」が堪能できるのです。コーヒー豆の産地や焙煎方法、淹れ方による違いも試して、あなた好みの一杯を見つけてみてはいかがでしょうか。

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