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コーヒーの品種ティピカの特長とは?アラビカ種との関係や味わいを紹介

ティピカとは、コーヒーの3大品種のアラビカ種に属する品種です。歴史が長い品種ですが、生産の難しさから現在ではティピカ100%のものはきわめて少なくなっています。しかし、品種改良などでティピカの遺伝子は現在も残されているのです。本記事では、ティピカの歴史や味わい、子孫である品種を紹介します。

1.コーヒーの品種ティピカの特長

スペイン語が名前の由来であるティピカ。数あるコーヒーの品種の中でも、ティピカは長い歴史があります。まずは、ティピカの特長や歴史を紹介していきます。

ティピカとは

コーヒーの品種は、大きく分けるとアラビカ種とカネフォラ種、リベリカ種の3種類に分類できます。ティピカはアラビカ種に属する品種です。アラビカ種には、さまざまな種類がありますが、ティピカは最も古く、歴史の長い品種。名前の由来は「典型的な」「標準的な」という意味のスペイン語です。

ティピカの歴史

ブルボンと並んで古くから存在する原種と言われているティピカ。15世紀から16世紀にかけてエチオピアから中東イエメンに伝わったコーヒーが、ティピカであると考えられています。

1658年、オランダからスリランカにコーヒーが持ち込まれ、やがてジャワ島に伝わりました。1706年には、ジャワ島からアムステルダムにコーヒーの苗木が贈られており、それがカリブ海や中南米へと広がっていきました。この苗木が、ティピカの祖先であると言われています。

ティピカの味わい

ティピカの味わいは、際立った風味に甘味ときれいな酸味です。後述しますが、完全なティピカは非常に少ないのが現状です。めったに見ることができないため、コーヒー業界人でも本当のティピカの味を判断できる人は少ないと言われています。

2.ティピカのコーヒー生産と栽培

現在では、100%ティピカのコーヒー豆は非常に少なくなっています。ですが、品種改良の研究が進み、ティピカの子孫と呼べる品種が複数流通しています。ここからは、現在のティピカの生産状況と栽培環境を見ていきましょう。

ティピカの生産状況

現在、ティピカ100%のものは、非常に希少で入手しにくくなっています。1967年まではコロンビアでティピカが栽培されていましたが、生産性の低さから品種改良が進みました。その試みは現在も続いています。今ではティピカの単一品種こそ減ってしまいましたが、品種改良によって生まれた種は世界に広まっています。

ティピカの栽培環境

昨今では、高級品種としてティピカの子孫と呼ばれる品種が栽培されています。栽培から収穫までは4年ほどの歳月を必要とし、豊かな土壌を維持しなくてはなりません。また、ティピカは霧や病害虫にも弱いため、収穫まで非常に手間がかかります。

栽培には、厳しい直射日光に曝さないためにシェードツリーがあるのが理想的とされています。落ち葉は腐葉土となるため、自然の力を最大限活用できるのもポイントです。また、ふかふかとやわらかく、窒素還元が十分にできている土壌がティピカの栽培に向いています。

栽培環境に条件や収穫までの手間を考えると、ティピカが高級品種として流通しているのも納得できるでしょう。

3.ティピカから派生したコーヒー品種

品種改良が盛んなティピカですが、長い歴史の中で突然変異や自然交配で誕生した品種も複数存在します。なかには、私達がよく目にする品種も含まれています。ここでは、ティピカから派生したコーヒーの品種を紹介しましょう。

ブルーマウンテン

ブルーマウンテンの名を知っている人は多いでしょう。高級銘柄のブルーマウンテンは、ティピカが突然変異してできた種です。「コーヒーの王様」と称されるブルーマウンテンは、コーヒーの天敵であるさび病に非常に弱く、収穫量が激変することも。寒暖差の大きな険しい斜面で栽培され、引き締まったコクのある味わいが生まれます。

栽培品種としてのブルーマウンテンはジャマイカが起源です。高級ブランドとして有名なブルーマウンテンは、ブルーマウンテンエリアで生産されたアラビカ種のコーヒー豆のことを指します。

黄金バランスと評される調和のとれた味わいと濃厚ながらもすっきりとした後味は多くの人を魅了して止みません。

ブルーマウンテンについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

マラゴジッペ

マラゴジッペは、ブラジルで発見されたティピカの突然変異種です。ブラジルのバイーア州マラゴジッペ地区で発見されたのが名前の由来となっています。コーヒー豆の粒は丈夫で大きく、存在感が感じられます。コーヒー豆と同様に、木や葉も大ぶりです。樹高も高いため、収穫が困難で生産性が低い品種です。

ケント

ケントは、インドで発見された品種です。ティピカと他の種の雑種と言われています。インドのマイソール地方で農園を営むケント氏が発見、育成を行ったとされていることが名前の由来。一部のさび病菌に強く、現在はタンザニアで栽培されていることもあります。

スマトラ

インドネシアのスマトラ島で発見されたスマトラもティピカに属します。高級銘柄として名高いマンデリンに含まれるこの品種は、重厚で奥行きのあるコクと苦みが魅力。酸味は少なく、後味はすっきりとしています。

ブルボン

ブルボンは、インド洋に位置するレユニオン島で発見された突然変異種です。当時、レユニオン島はブルボン島と呼ばれていたためにこの名が付けられました。コーヒー豆は小粒で丸みがある可愛らしい形で、味わいには甘味が感じられます。生産力は低いですが、品種改良のベースとして利用されることが多い品種です。

4.ティピカでコーヒーの歴史を味わって

ティピカは、純粋なものを手に入れるのは非常に困難となっています。しかし、突然変異種や品種改良されたものは広く流通しているため、手に入れやすいでしょう。なかには高級銘柄もあるので、自分へのご褒美に選んでみてはいかがでしょうか。ティピカのコーヒーを飲み比べて、コーヒーの歴史に思いを馳せてみるのも楽しいかもしれません。

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