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『焙煎(ロースト)』をよく知ろう!美味しいコーヒーに出逢える豆知識

コーヒーができあがるまで、いろんな工程がありますよね。そのうち、コーヒーの風味をダイレクトに変えるのが「焙煎(ばいせん)」。あなたも「自家焙煎」「こだわりの焙煎」などの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

焙煎の役割や面白さについて知識を深めると、今までのコーヒーがより美味しく味わえるように!焙煎度によって異なる苦味や酸味が分かるので、より自分好みのコーヒー豆が選びやすくなります。

ここでは、

「焙煎って何?」
「どんなものが美味しいのかな?」

と気になるあなたへ、焙煎による変化や浅煎り・深煎りなどの焙煎度の違いについて詳しくご紹介。この記事を読んで、あなたにぴったりの美味しいコーヒーと出逢いましょう!

1.「焙煎」でコーヒーの味・香りが生まれる

焙煎の役割

焙煎(ロースト)とは、味や香りがほとんどない「生豆(なままめ)」を煎る作業のこと。加熱によって生豆の成分が化学変化を起こし、私たちがよく見かけるコーヒー豆に変わります。

・生豆の色が茶~黒褐色になる
・コーヒー独特の味や香りが生まれる

このような変化が見られますが、その焙煎度は火のかけ方や煎る時間によってさまざま。大きく分けて浅煎り・中煎り・深煎りの3段階あり、好みの苦味や酸味を選ぶ目安になります。

コーヒーを味わうための大事な工程

ここで、コーヒーが飲めるようになるまでの歩みをおさらいしてみましょう。

・パーチメントを植える
・発芽後、植え替えなどをする
・約3年後、コーヒーの木に白い花が咲く
・コーヒーチェリーが実る
・成熟したコーヒーチェリーを収穫する
・種子を取り出す(精選)
・脱殻・選別をして生豆を作る
・生豆を焙煎し、コーヒー豆を作る
・焙煎し、コーヒー豆を作る
・コーヒー豆を粉砕し、コーヒー粉を作る
・コーヒーを抽出する

人の手や機械で丹精込めて育てられるコーヒーチェリーの木。そこから取り出され、選別・加工によってできる生豆。世界中にさまざまな手法がありますが、ここまではまだコーヒー独特の風味はありません。

焙煎は、いわばコーヒーの味や香りがうまれる記念すべき第一歩!品質の決め手にもなり、焙煎をする人の腕の見せどころでもあります。

2.「焙煎度」はコーヒーの苦味・酸味の目安

今、気になっているコーヒー豆はありますか?「どれくらい苦いか」「どれくらいの酸味があるか」を見分ける際に役立つのが「焙煎度」。コーヒー豆の煎り具合のことです。

焙煎度は、大きく分けて「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3段階。それぞれを細かく分けると、全部で8段階です。

それぞれの特徴をみていきましょう。

浅煎り

焙煎時間が短く、酸味の強い味わい。苦味がなくさっぱりとしており、フルーティーな味わいがあります。

【ライトロースト】
うっすら焦げ目がついており、黄色っぽい色の状態。香り・コクが弱く、酸味が強いのが特徴です。

【シナモンロースト】
シナモン色。苦味はほとんどなく、すっきりとした酸味があります。

中煎り

苦味・酸味のバランスが良い焙煎度。浅煎り豆に比べて色が暗く若干しっとりとしています。コーヒー豆本来の味わいが出やすいので、レギュラーコーヒーの中で広く親しまれています。

【ミディアムロースト】
薄い茶色。さっぱりとしており、苦味がほんのり感じられます。アメリカンコーヒーに適した焙煎度で、アメリカンローストともいいます。

【ハイロースト】
茶色。酸味と苦味のバランスがとれており、柔らかな口あたりとすっきりとした苦味があります。お家やお店でよく使われており、焙煎度選びに迷った際におすすめ。

【シティロースト】
ハイローストより少し黒色。酸味と苦味のバランスがとても良く、コクのある苦味があります。北米や日本で人気の焙煎度で、「シティ」は「ニューヨークシティ」由来の名前です。

深煎り

焙煎時間が長く、香ばしくてビターな味わいが特徴。酸味が強いコーヒー豆を深煎りにすると、すっきりとした味わいに変わります。コーヒー豆の色は濃い茶褐色~黒褐色。

【フルシティロースト】
黒茶色。酸味が少なく、コーヒー独特の香りが強い焙煎度です。苦味とコクが出るので、コーヒーの苦味が好きな人におすすめ。

【フレンチロースト】
黒っぽい色。コーヒー豆の内部から表面に油分が出て、テカテカとしています。苦味がかなり強くコク深い味わいで、酸味はほとんど感じません。カフェオレやウィンナコーヒーなど、アレンジコーヒーに使いやすい焙煎度です。

【イタリアンロースト】
焦げているように見える黒色。苦味とコクがかなりあり、唯一スモーキーな香りがあります。ブラックコーヒーのままでは飲みにくく、ミルクや砂糖を入れるのが一般的です。

3.焙煎はココが面白い!

焙煎には、いろんなパターンがあることがわかりましたね。さまざまな焙煎度にチャレンジしたくなってみたのではないでしょうか。

その前に!焙煎がもっと楽しめるような魅力をご紹介しますね。

温度と経過時間で成分が変わる

焙煎は、「コーヒー豆が何度に何分さらされたか」が重要なポイント。時間に対して生豆の温度がどのように変化していくかで、味や香りなどを形成する成分も変わります。その知識を深めると、コーヒーがしみじみと味わえるようになりますよ。

・色|アミノ酸・ショ糖・クロロゲン酸が反応し、黄色っぽい色から黒色に。時間と温度の変化で決まる。
・苦味|コーヒーの苦味の一部は色素によるものであり、生豆に色がつくほど強くなる。
・酸味|焙煎初期は、クロロゲン酸やショ糖の熱分解によって作られるキナ酸・コーヒー酸・酢酸・グリコール酸などが増加。焙煎後期はさらなる熱分解によってこれらの酸味が減少する。
・香り|少糖・アミノ酸・クロロゲン酸が反応し、約650種類の香り成分が作られる。総じて時間が経つほど強くなるが、時間と比例して増えるもの・増加後減るもの・ほとんど変わらないものがある。

「ブレンド」で新しい味に出逢える

種や産地が違うものを混ぜ合わせ、新しい味が作りだせる「ブレンドコーヒー」。1種類だけのストレートコーヒーと比べて、苦味や酸味などがバランスよく調整できたり安定して生産できたりします。

ブレンドコーヒーは、混ぜ合わせるタイミングがポイント!ここに、「焙煎」が大きく関係しています。

・プレミックス|生豆の状態でブレンドしてから焙煎。工程がシンプルだが、同じ加熱方法でしか焙煎できないので味のバリエーションが出にくい。
・アフターミックス|焙煎後にブレンド。工程が複雑で保管のためのサイロ・混ぜるときのミキサーが必要だが、味の表現は無限大。

このように、混ぜ合わせるタイミングが焙煎の前か後かによって風味が微妙に違うので、目指す味・安定性・コストパフォーマンスなど状況に応じて使い分けるのが一般的です。

「自家焙煎」でこだわりの味に出逢える

焙煎前の生豆を仕入れて、自分で焙煎をする「自家焙煎」。大量生産された焙煎済みのコーヒー豆と比べて、好みの焙煎度に調整でき、コーヒー豆本来の香りや味をすぐに楽しめるのが魅力です。

カフェやコーヒーショップなどでも「自家焙煎」という文字をよく見かけますが、それはお店独特のコーヒーを表現したいという想いがあるからこそ。生豆だけじゃなく焙煎方法や焙煎機にもこだわり、適切に包装・保存をしています。

4.自分でコーヒー豆を焙煎する方法

実は、私たちの身近な道具でもコーヒー豆を焙煎できます。

ただ、加熱や煎り終わりのタイミングが難しかったりコーヒー豆1つずつに焼きムラができたりと、焙煎に関するしっかりとした知識や技術が必要。火事・煙・汚れなどへの対策も欠かせません。

それでは、自分で簡単にできる焙煎方法と注意点、プロ並みのコーヒー豆に仕上げる方法も合わせてご紹介しますね。

準備道具

・コーヒー生豆|約100~150g
・焙煎用の手綱(銀杏・大豆を煎るものでOK)
・ドライヤー(うちわ)
・軍手
・ガスコンロ
・ザル

手順

➀生豆を手綱に入れる
・生豆がはみ出さないようにふたの左右をクリップなどでとめる

➁軍手をして火にかける
・やけど防止のために軍手をはめ、中火の火にかける
・高さ約10~15cmのところで水平に保ちながら網を振る
・ゆすり続けると3分ほどで水分が抜け、薄皮が取れて薄茶色に変わる

③1爆ぜ(中煎り)
・さらに10分ほど煎り続けると「爆ぜ(はぜ)」の音が聞こえる(中煎り)
・音がなくなったら中煎りの状態になる

④2爆ぜ(中深煎り)
・加熱開始から15分ほどで「チリチリ」音が聞こえ、煙が出て香りがする(中深煎り)
・好みの加減まで煎り続けて火からおろす

⑤すばやく冷ます
・火から下したらザルにあげ、コーヒー豆の内部の熱で焙煎が進むためドライヤーなどですばやく冷ます
・そのまま置いて、粗熱が取れたら完成

焙煎時の注意点

焙煎には以下のような危険があるので、「やけど・火事・煙・汚れ」に注意!

・網を振る際に手が火に触れる
・取れた薄皮がそこら中に飛び散る
・煙がモクモクと出て、周囲を汚す&火災報知器が反応する
・加熱をしすぎると、コーヒー豆が油でベトベトになる

このように、普段の調理とは違って危険が多く汚れやすいので、安全・清潔にできるようにきちんと対策をしておきましょう。

まず、場所は自宅内のキッチンではなく屋外がおすすめ。カセットコンロを使って焙煎し、まわりに飛び散った薄皮や汚れなどはほうきで集めたり水で洗い流したりすると楽ちんです。煙のこもらない開放的なところであれば、呼吸が苦しくなる心配もありません。

また、加熱中はしっかりと軍手をはめ、コンロの火や飛び散った高熱の薄皮でやけどをしないように!焙煎後のコーヒー豆もとても熱いので、直接手で触らないように気をつけてくださいね。

焙煎・焙煎機の種類

上記でご紹介した手綱を用いる方法は、「直火式焙煎」といいます。ほかにも「熱風式焙煎」「半熱風式焙煎」などがあり、熱の伝わり方が違うので味にも違いが出てきます。

生豆がもつ特性に合わせて最適な焙煎時間・加熱方法をとると、コーヒー豆のクオリティーがぐんとアップ!プロ並みのコーヒー豆に仕上げたいなら、各伝熱方法を良く理解して専用の焙煎機を使うのがおすすめです。

もっとも基本的な焙煎機は、円筒状(横型ドラム状)の焙煎窯を回転させながら焙煎を進めるシリンダータイプ。それぞれ、以下のような特徴があります。

・直火式焙煎|真下から、生豆に直接火をあてて煎る方法。温度の変化に敏感で、焼きムラが生じやすい。炭火・遠赤プレートを熱源として利用するタイプもある。
・半熱風式焙煎|真下から熱源をあて、加熱された空気をシリンダーに引き込んで焙煎を進める方法。構造は直火式と似ているが、シリンダーに穴がない。ムラなく均一に仕上がりやすい。
・熱風式焙煎|熱源を離れたところからあて、加熱された空気をシリンダーに引き込んで焙煎を進める方法。シリンダーに穴があるものないものがある。ムラなく均一に仕上がりやすい。

業務用の焙煎機は高額で使いこなすのも難しいですが、簡易的で家庭向けの手回し式・電動式・ガス式などがあるので探してみてくださいね。

5.焙煎したコーヒー豆の正しい取り扱い方

手間ひまかけて仕上げたせっかくのコーヒー豆。焙煎後は、コーヒーを美味しく淹れるまで正しい方法で包装・保存しましょう!

焙煎後の変化を理解しよう

コーヒー豆は、焙煎後すぐに変化していきます。どんな環境に置いておくかで劣化のスピードが変わるので、まずは大きく関係している以下の4つを知っておきましょう。

・水分|全体の3%ほどしかなく吸湿性が強い状態。多いと劣化のスピードが速くなるので、乾燥した状態を保つのが良い。
・酸素|空気中の20%ほどの酸素に触れると劣化のスピードが速くなる。脱酸素剤・不活性ガス置換が効果的だが、家庭では難しい。
・光|紫外線がコーヒーの色・風味に影響。直射日光・蛍光灯の明かりを極力避けるのが良い。
・温度|10℃上がると劣化のスピードは約2倍に。高温を避けるのが良い。

包装方法

焙煎後のコーヒー豆を入れる容器は、乾燥・低酸素・光の遮断・低温度になりやすい「密閉できるタイプ」が最適です。

例えば、

・ジッパー付き保存袋
・アルミバッグ
・保存ビン

などが向いています。

保存方法

コーヒー豆を保管しておく場所は、コーヒーを淹れるまで1週間ほどなら「常温」でもOK。直射日光や高温多湿を避け、温度や湿度があまり変わらない15℃以下の環境がベストです。

未開封で、飲み切るのが1週間以上かかりそうなら「冷蔵」「冷凍」が良いでしょう。ただ、庫内のにおいが移ったり常温に戻さないと抽出されにくかったりするので注意が必要。密閉容器に小分けして入れ、必要な分だけを取り出して常温に戻してから淹れましょう。

6.焙煎度・焙煎方法を見極めて好みのコーヒー豆を見つけよう

コーヒーならではの良い香りや風味は、「焙煎」で初めてうまれるものなのだとわかりましたね。焙煎度や方法にはさまざまな種類があるので、あなたが気になる味わいをいくつかチャレンジしてみると良いでしょう!

焙煎されたコーヒー豆は、保存容器や場所・期間も重要なポイント。1番ベストな環境を作り、そのコーヒー豆がもつ香りや味をたっぷりと楽しんでくださいね。

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